ビットコイン(BTC)は、これまで一度も克服したことのない季節性の逆風を抱えながら12月を迎えた。
歴史的には、11月がマイナスで終わると12月も弱含む──それが長年の確率曲線だった。
だが2025年の市場構造は、過去とは明らかに異なる様相を呈している。
レバレッジの後退、現物流入の強さ、そして半減期サイクルを超える新たな構造変化。
従来の「歴史的に弱い12月」という認識が、今年は通用しない可能性が出てきている。
本稿では、モメンタム、流動性、テクニカル、サイクルの観点から、
“12月が強気に転じる可能性”がどこまで実在するのかを読み解いていく。
■ 弱気シーズンに潜む「構造変化」──過去の季節性を上回る市場改善
これまでのビットコインは、11月が下落 → 12月も弱いという明確な季節性を持っていた。
だが今年は、その前提そのものが変わりつつある。
BTC価格はすでに
月間rVWAP(ローリング出来高加重平均価格)を回復し、高い時間軸でトレンド回帰を示している。
さらに、11月の調整で未決済建玉は940億ドル → 600億ドルへ縮小。
レバレッジが整理され、市場の土台が“クリーン”な状態へとリセットされた。
これは通常、
「大口の買いが入りやすい環境」
へと移りつつあるシグナルとされる。
■ 清算マップが示す“上方向の余白”──10万ドル到達時は70億ドルのショート吹き飛び
テクニカル面では、流動性クラスターが明確に変化している。
- 8万ドル付近:下方向の清算がすでに終了(約10億ドル)
- 9.6万ドル付近:ショート清算30億ドル
- 10万ドル到達時:70億ドル超が一気に清算
つまり、価格が上方向に動いた場合、
雪崩的なショートカバーが引き金となり、価格を押し上げやすい状態が続いている。
季節性の弱さとは裏腹に、
12月は過小評価されている可能性が高いと見るアナリストが増えている理由はここにある。
■ 投資家心理:強さの裏に潜む“ミスリード”
一方、モメンタムには注意も必要だ。
Cointelegraphの分析では、
テイカー買い・売り比率が「1.17」付近に滞留しており、
これは厚みのある買いではなく「緊急性」による買いが主因であることを示唆する。
EndGame Macroはこれを
「攻撃的な買いだが、持続性のある蓄積とは限らない」
と分析する。
つまり、
勢いはあるが“本物の強気トレンド”としてはまだ不安定
という状況だ。
■ マクロ:M2は横ばい──リスク資産だけが走る“後期サイクル”の兆
もう1つ注目すべきはマクロ流動性だ。
- リスク資産(BTC・株)は上昇
- M2の速度(Money Velocity)は横ばい
これは、
「市場は騒がしいが、基礎経済は静か」
という典型的な後期サイクルの構図を示している。
後期サイクルでは、
流動性ローテーション
が価格を押し上げやすく、ビットコインにとっては追い風となるケースが多い。
■ 半減期サイクルを超える“新たな構造”──ETFとグローバル流動性
近年、アナリストの間で強調されているのは、
「従来の4年半減期サイクルがそのまま当てはまらなくなっている」
という事実だ。
その理由は明確だ。
● スポット現物ETF
→ 恒常的な買い需要が発生し、下値を切り上げる構造が形成
● 流動性ローテーション
→ 中国人民元(CNY)やETH/BTCの相関は“拡張局面の初期”に似た動き
● PMIや金価格
→ リスク選好の回復を示唆
これらは、
2016年半ばや2019年末の「流動性拡張局面」と酷似している。
アナリストのミヒャエル・ファン・デ・ポッペ氏は次のように述べる。
「ビットコインは天井に近づいていない。
今は“最終局面の中で最も上昇しやすい段階”にある。」
サイクルの視点でも、
まだ上昇の余地は大きいと判断されている。
■ まとめ:12月は「歴史を破る月」になるのか?
これまでビットコインは、
“11月マイナス → 12月も弱い”
という鉄板の季節性に縛られていた。
しかし2025年は、
流動性ローテーション・ETF流入・レバレッジ整理という構造変化によって、
その常識が覆る可能性がある。
- rVWAP回復でトレンド明確化
- 未決済建玉40%減で市場リセット
- 10万ドル突破時の巨大ショート清算
- 半減期サイクルを超える構造的な強気要因
こうした条件が揃うのは、過去の弱気12月とはまったく異なる。
12月が“過去の弱気パターンを破る最初の年”となるのか──
市場にとって重要な転換点が、いま目の前に迫っている。
