米国市場がEUとの貿易摩擦、とりわけグリーンランドを巡る地政学的緊張に反応するなか、ビットコイン(BTC)は急落を回避しつつも、重要な攻防ラインである9万ドル水準で神経質な値動きを続けている。
一方で、金と銀は史上最高値を更新。
リスク資産と安全資産の明暗がはっきりと分かれる中、市場は「次の主役」がどこに向かうのかを見極めようとしている。
■ 株式は動揺、貴金属は高騰──市場が示すリスク回避の本音
火曜日のウォール街取引開始と同時に、米国株式市場は下落。
S&P500、ナスダック総合指数はいずれも約1.5%安で推移し、投資家心理の冷え込みを映し出した。
対照的だったのが貴金属市場だ。
- 金:1オンス4,750ドル(史上最高値)
- 銀:96ドル手前まで上昇
株式市場から逃避した資金が、インフレ耐性と地政学リスク耐性を併せ持つ「実物資産」へと流入している構図が鮮明となった。
この動きは、EUとの貿易戦争懸念、そしてトランプ大統領による強硬なメッセージ発信が、投資家に「フィアット体制そのものへの不安」を意識させた結果とも言える。
■ ビットコインは9万ドル攻防──「安全資産」か「リスク資産」か
トレーディングビューのデータによれば、BTCは9万ドルを挟んだ綱引きが続いている。
急落は回避しているものの、金のように明確な資金流入が起きているわけでもない。
これは、ビットコインが依然として、
- マクロ環境悪化時の「リスク資産」
- フィアット不信の受け皿となる「デジタルゴールド」
という二つの性格の間で評価が揺れていることを示している。
■ トレーダーの視線:「10万ドルシナリオ」は崩れていない
それでも、市場参加者の多くは強気シナリオを完全には捨てていない。
人気トレーダーのビットブル氏は、BTCが週足ベースで強気相場サポートバンドから一時的に拒否された点を指摘しつつも、こう分析する。
「これは2025年第1四半期にすでに2度起きている。
その後、BTCは最終的に水準を回復し、過去最高値を更新した」
同氏は、8万8,500ドルを上回る限り上昇トレンドは維持されているとし、10万ドル回復の可能性を否定していない。
一方で、伝説的トレーダーのピーター・ブラント氏はより慎重だ。
9万8,000ドルでの反落を受け、「6万ドル、あるいはそれ以下への調整も排除できない」と警鐘を鳴らしている。
■ 分かれる見方、それでも残る「次は10万ドル」という声
慎重派が増える一方で、再び強気に転じたトレーダーもいる。
イル・カポ・オブ・クリプト氏は、現在の水準を「重要なサポートゾーン」と位置づけた。
「ここを維持できれば、次は10万ドルだ」
この水準が、仮想通貨市場全体にとって切り上げ安値形成の起点となる可能性も示唆している。
■ 結論:金が先行、ビットコインは“次の一手”待ち
今回の市場が示したメッセージは明確だ。
短期的な評価
- 地政学リスクと貿易摩擦懸念で株式市場は不安定
- 資金はまず金・銀という「伝統的安全資産」へ流入
- ビットコインは9万ドルで踏みとどまり、耐性を示す
中期的な焦点
- BTCが「リスク資産」から「価値保存資産」へ完全に移行できるか
- 9万ドル台の攻防が、10万ドル再挑戦の土台になるか
- フィアット不信がどこまで拡大するか
金が先に史上最高値を更新した今、
次に市場が試すのは「ビットコインは本当にデジタルゴールドなのか」という問いだろう。
9万ドル防衛線の攻防は、単なる価格調整ではない。
それは、ビットコインが次のステージへ進めるかどうかを占う、重要な分岐点となっている。
