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3メガ銀×証券連合が示す次の金融覇権──ステーブルコイン決済が変える資本市場

2026.02.17

ニュース

日経報道を契機に、日本の金融セクターで新たな構造変化が浮上している。
3メガバンクと大手証券が共同で、ステーブルコインによる株式・債券・投資信託決済の枠組み構築に踏み出した。

これは単なる実証実験ではない。
金融インフラの再設計を巡る「制度×技術×競争」の三層戦略が同時に走り出したシグナルである。

本稿では、この動きを短期の市場インパクトと、中長期の金融秩序再編の観点から整理する。

■ ステーブルコイン決済とは何か──清算システムの再定義


今回の計画は、金融庁のFinTech実証枠組みを活用し、株式売買などの決済をブロックチェーン上で行う仕組みの検証から始まる。

当初は商社の国際決済用途とされていた共同ステーブルコインだが、
証券決済という中核インフラ領域へ拡張されることで、金融ユースケースの次元が変わる。

従来の証券決済は、

・証券会社
・清算機関
・保管振替機構

といった多層構造のレガシーシステムで成立してきた。

ブロックチェーン決済は、この仲介レイヤーの一部を統合し、
資金移動と資産移転を同時処理する「アトミック決済」を実現する可能性を持つ。

これは効率化ではなく、金融インフラそのものの再定義である。

■ 短期:実証フェーズで生じる制度摩擦と技術選定競争


もっとも、この動きが即座に既存市場を置き換えるわけではない。

証券管理を担う「ほふり(JASDEC)」など既存インフラは依然として中核機能を持ち、当面は

・レガシー清算
・ブロックチェーン清算

の並行運用となる可能性が高い。

さらに、基盤チェーンの選定という技術競争も残る。

現時点で技術支援を担うProgmatに加え、
証券トークン化領域ではBOOSTRYなど複数プレイヤーが存在する。

つまり短期フェーズは「実装競争」というより、
標準仕様を巡る主導権争いの段階にある。

■ SBI不参加が示す本質──金融ブロック化の始まり


今回の報道で市場の関心を集めたのは、SBIの動きだ。

同社トップは、連合参加を拒否した理由として

・画一化
・競争制限
・護送船団的構造

を挙げている。

この判断は単なる企業戦略ではない。

金融オンチェーン化の覇権を巡る「連合モデル vs 分散モデル」という構図を象徴している。

実際、SBIは独自路線として

・ステーブルコイン基盤
・RWA取引インフラ
・金融特化型L1チェーン

の開発を同時並行で進めている。

これは、日本の金融市場が
単一プラットフォーム統合型ではなく
複数ネットワーク競争型へ向かう可能性を示唆する。

■ グローバル比較:米国はすでに次段階へ


世界市場では、トークン化金融は概念段階を超えている。

ブラックロックが運用するトークン化MMF「BUIDL」は、
運用残高18億ドル規模に到達しており、実需が成立している。

またNYSEもトークン化株式プラットフォーム開発を進めており、
金融商品はすでに「オンチェーン前提」で設計され始めている。

つまり日本の今回の実証は、追随ではなく
国際標準争いへの参加表明と位置付けるべきだ。

■ 中長期:金融市場は「時間」から解放される


ステーブルコイン決済が実装されれば、最大の変化は速度ではない。

金融市場の時間概念そのものが消える。

現在の証券市場は

・営業日制
・清算日制
・市場時間制

という三重の時間制約に縛られている。

ブロックチェーン決済はこれを

・24時間
・365日
・即時確定

へ変える。

この変化は、取引所の役割、清算機関の存在意義、資本効率の概念をすべて書き換える。

■ 結論:実証開始はゴールではなく開戦合図


今回の発表の本質は、
ステーブルコインが使われることではない。

金融覇権競争が、日本国内でも正式に始まったことだ。

短期的には

・制度整備の遅延
・規格争い
・企業間対立

がノイズとなる。

しかし中長期では

・証券市場の常時稼働化
・RWAの流動化
・国境を越えた資本移動

が同時に進行する可能性が高い。

注目すべきは価格ではない。
誰が標準を握るかだ。

金融は今、静かに「インフラ戦争」の時代へ入っている。

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