はじめに
暗号資産市場において歴史的な転換点が到来している。ブラックロックのiシェアーズ・イーサリアムETFが急速な資産拡大を続け、世界第2位のイーサリアムカストディアンであるコインベースを上回る勢いを見せている。この現象は単なる資産移動にとどまらず、機関投資家による暗号資産への参入方法が根本的に変化していることを示している。
ブラックロックETFの急成長概要
ブラックロックの現在のイーサリアム保有量は360万ETHに達し、わずか2か月足らずで120万ETHを追加取得した。この驚異的なペースが継続すれば、年末までにコインベース(380万ETH)を上回り、首位バイナンス(470万ETH)との差もわずか110万ETHまで縮小する可能性が高い。
ビットコインにおいても同様の現象が発生しており、ブラックロックのBTC保有量は74万5357BTCに達し、すでにコインベース(70万6150BTC)とバイナンス(58万4557BTC)を上回っている。これによりブラックロックは、ビットコインとイーサリアム双方で最大の機関カストディアンとしての地位を確立している。
市場構造変化の特徴
取引所からETFへの資金移動
最新のオンチェーンデータは明確な傾向を示している。30日移動平均によるBTC流入額は2023年5月以来の低水準に落ち込み、ETH流入額も4月10日の25ETH低水準に再び到達している。興味深いのは、当時のイーサリアム価格が1700ドル付近だったのに対し、現在は4600ドル近辺にあることだ。
一方で、ETFへの資金流入は加速している。イーサリアムETFは先週木曜以降で15億ドル超の純流入を記録し、単日では4億5000万ドルの流入を達成した。ビットコインETFも過去2日間で3億1000万ドル近い流入を集めている。
機関投資家の選好変化
この現象の背景には、機関投資家が規制されたETF商品を取引所でのカストディよりも強く選好する構造的変化がある。規制環境の整備と機関投資家向けサービスの充実により、従来の個人投資家中心の取引所モデルから、機関投資家中心のETFモデルへの移行が加速している。
まとめ
ブラックロックETFの急拡大は、暗号資産市場における機関投資家の本格参入を象徴する出来事である。取引所への流入減少とETFへの積極的な資金流入の組み合わせは、BTCとETH双方に供給ひっ迫環境を創出し、年末にかけての強気相場を支える重要な要因となっている。
投資家にとって、この構造変化は新たな投資機会の創出を意味する。特に暗号資産を担保とした資金調達において、ETF による機関資金の流入は市場の安定性向上と流動性拡大に寄与し、より効率的な資産運用戦略の構築を可能にする。中長期的視点では、機関投資家の継続的参入により、暗号資産市場の成熟化と投資環境の改善が期待される。
参照:ブラックロックのイーサリアムETF ETH保有量が拡大 世界第2位のコインベースに迫る