ビットコイン担保ローンとは?基本の仕組みを解説
ビットコイン担保ローンとは、保有しているビットコインなどの暗号資産を担保に、日本円やドルなどの法定通貨を借り入れることができる新しい資金調達方法です。資産を売却せずに手元資金を確保できるため、価格上昇を見込んで保有を続けたい投資家に注目されています。
近年では、個人投資家や法人を対象にしたローンサービスも充実しており、暗号資産の活用法として急速に広がりを見せています。
この章では、基本的な仕組みについて解説します。
仮想通貨担保ローンの仕組み
仮想通貨担保ローンは、利用者が自身の暗号資産を貸し手(サービス提供業者)に預け入れ、その価値に応じて一定額の法定通貨を借りるという仕組みです。
貸付額は、担保評価額の50~70%程度に設定されることが一般的で、借入期間中に価格が大幅に下落すると、ロスカット(強制売却)が発生する場合もあります。返済が完了すれば担保は返却され、利息のみで資金を調達できる点が特徴です。
担保にできる主な暗号資産
担保として認められる主な仮想通貨は、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)です。これらは流動性と時価総額が高く、信用力があるため担保資産として一般的に採用されています。
サービスによっては、USDコイン(USDC)やテザー(USDT)等のステーブルコインや、特定の上場トークンも担保対象になるケースがあります。対象資産は事業者ごとに異なるため、事前の確認が重要です。
ローン契約の流れと仕組み
ビットコイン担保ローンの一般的な申込みの流れは、下記のとおりです。
- 会員登録
- 担保資産の送付
- 審査・契約
- 資金振込
- 返済
- 担保返却
多くのサービスはオンライン完結型で、スマートフォンやPCから簡単に手続きが可能です。また、契約条件には金利・返済期間・LTV(ローン・トゥ・バリュー)比率などが含まれており、これらを事前に理解しておくことがトラブル回避のポイントです。
ビットコイン担保ローンの主な提供企業とサービス特徴
ビットコインを担保にしたローンサービスは、国内外で複数の企業が提供しています。ここでは、主要な提供企業とそのサービスの特徴を紹介します。
Fintertechの「デジタルアセット担保ローン」
Fintertech株式会社は、大和証券グループとクレディセゾンの合弁会社であり、暗号資産を担保としたローンサービス「デジタルアセット担保ローン」を提供しています。
主な特徴
- 担保対象資産:ビットコイン(BTC)およびイーサリアム(ETH)
- 担保掛目:50%
- 借入利率:実質年率4.0%~8.0%
- 融資額:個人向けは200万円以上、法人向けは500万円以上、最大5億円まで
- 契約期間:1年(延長可能)
- 返済方式:元利一括返済方式(返済回数1回)
- 保証人:不要
- 資金使途:原則自由
このサービスは、暗号資産を売却せずに資金調達が可能であり、納税資金や事業資金、ライフイベントの資金等、様々な用途に対応しています。
汐留トラストの高額ローン事例
汐留トラスト株式会社は、仮想通貨を担保とした高額ローンサービスを提供しています。
主な特徴
- 担保対象資産:ビットコイン(BTC)
- 融資額:500万円から5億円まで
- 資金使途:原則自由
- 契約期間:要相談
- 返済方式:要相談
- 保証人:要相談
このサービスは、高額な資金調達を希望する個人や法人に対応しており、不動産購入や事業資金等、大規模な資金ニーズに応えています。
海外における事業者の動向
海外では、暗号資産を担保としたローンサービスが広く展開されています。
主な特徴
- 担保対象資産:ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)など
- 担保掛目:50%~80%
- 借入利率:サービスによって異なる
- 融資額:サービスによって異なる
- 契約期間:サービスによって異なる
- 返済方式:サービスによって異なる
これらのサービスは、暗号資産を担保にすることで、売却せずに資金調達が可能であり、投資家や事業者にとって有効な資金調達手段となっています。
ビットコイン担保ローンのメリットと注意点
ビットコイン担保ローンは、仮想通貨を活用した新たな資金調達手段として注目されています。特に、保有資産を売却せずに日本円などの法定通貨を借り入れられる点が大きな魅力です。一方で、価格変動リスクや資産管理に関する注意点も無視できません。
ここでは、ビットコイン担保ローンの主なメリットと注意点を詳しく解説します。
メリット①:売却せずに資金調達できる
ビットコイン担保ローンの最大のメリットは、暗号資産を手放さずに資金を調達できる点です。
例えば、ビットコインを将来的に値上がりすると見込んでいる場合でも、売却せずに担保として預け入れることで、法定通貨を得ることが可能です。これにより、資産価値の上昇を期待しながらも、必要な現金を確保する柔軟な資金戦略が実現します。投資資産を維持しながらも、事業資金や納税資金、生活資金など幅広い用途に対応できる点が魅力です。
メリット②:利確扱いを避けて税負担を抑える
仮想通貨を売却した場合には「利確(利益確定)」とみなされ、譲渡所得税が課されますが、ビットコイン担保ローンを利用すれば資産を売却せずに済むため、課税対象とならないケースが多いです。
特に、大きな含み益を抱える投資家にとって、税負担を先送りできる点は大きなメリットといえます。あくまでローンであるため、返済義務はありますが、保有資産を保持したまま手元資金を確保できる税務上の利点は見逃せません。
注意点①:相場変動によるロスカットリスク
ビットコインは価格変動が大きく、担保価値が下落した場合には、ロスカット(強制売却)が発生するリスクがあります。
貸し手側は担保評価額が一定以下になると、担保資産を自動的に売却して損失回避を図るため、借入者側が不本意なタイミングで資産を失う可能性も否定できません。このようなリスクを避けるためには、担保掛目(LTV)の確認や、追加担保の用意、価格変動時の対応策を事前に理解しておくことが重要です。
注意点②:担保資産の管理主体とリスクの確認
ビットコイン担保ローンを利用する際は、担保として預け入れた資産の管理方法や保管体制を十分に確認することが欠かせません。
貸し手側がどのように暗号資産を保管しているか(コールドウォレットの利用、マルチシグ対応等)は、資産の安全性に直結します。また、過去には不正流出やハッキング事例もあるため、信頼性の高い事業者を選ぶことが最も重要なリスク管理の一環となります。
活用シーン別|ビットコイン担保ローンの使い道
ビットコイン担保ローンは、資産を保持しながら柔軟に資金を調達できる手段として、個人・法人問わず多くのシーンで活用されています。売却せずに現金化できる特性から、税金の支払いや投資の再投入、ビジネスの資金繰りなど幅広いニーズに対応可能です。
この章では、代表的な活用例を3つ紹介します。
納税資金の確保
仮想通貨の売却益により多額の税金が発生した場合でも、手元に現金がないというケースは少なくありません。そんな時に便利なのが、ビットコイン担保ローンです。
売却による利確を避けつつ、納税に必要な資金を一時的に借り入れることで、資産価値を維持しながら納税義務を果たせます。特に、価格上昇を見込む投資家にとって、ビットコインを保有し続けることは将来的な利益拡大にもつながるため、納税対策として非常に有効です。
投資資金として再利用
ビットコイン担保ローンは、既存の暗号資産を担保にして新たな投資機会を狙う戦略的な資金源としても活用されています。
売却せずに借入れた資金を活用し、株式・不動産・他の暗号通貨などに再投資することで、複数の収益源を確保することが可能です。これにより、ポートフォリオの分散やレバレッジ効果を狙った高度な資産運用が可能となり、特に経験豊富な投資家には重宝されている使い道の一つです。
事業資金の短期調達
起業家や中小企業の経営者にとって、急な資金ニーズに対応するための迅速な融資手段として、ビットコイン担保ローンは有効な選択肢です。
銀行融資よりも審査が柔軟かつスピーディーなケースが多く、数百万円〜数億円単位の融資に対応可能な事業者も存在します。暗号資産を保有していれば、売却せずに資金化できるため、企業資産の保全とキャッシュフローの確保を両立できるメリットがあります。
仮想通貨担保ローンを利用する際のチェックポイント
仮想通貨担保ローンを活用する際は、メリットだけでなくリスクや条件面を事前に確認することが非常に重要です。金利や返済方法、担保維持率(LTV)、強制ロスカット条件、そしてセキュリティ体制等、複数の要素を比較・検討することで、安全かつ効率的な資金調達が実現します。
ここでは、利用前に押さえておくべき主要なポイントを3つ紹介します。
金利・返済条件の比較
仮想通貨担保ローンを選ぶ際にまず注目すべきなのが、借入金利と返済条件です。サービスによっては年利3〜9%と大きな幅があり、元利一括返済型や分割返済型など、返済方式も異なります。
短期で返済する場合と長期運用を考える場合では、適した条件が異なるため、自身の資金計画に合ったプランを選ぶことが肝心です。また、繰上げ返済の可否や延長条件の有無も確認しておくと安心です。
担保維持率(LTV)と強制売却条件
仮想通貨担保ローンでは、担保資産の評価額に対する借入額の割合「LTV(Loan to Value)」が重要な指標となります。一般的に50〜70%の範囲で設定されており、LTVが上限を超えると強制売却(ロスカット)が発生するリスクがあります。
価格変動が激しいビットコインなどを担保にする場合、相場下落時に追加入金が必要になるケースも多いため、LTVの基準とロスカット条件は必ず事前に確認しておきましょう。
セキュリティ・管理体制の確認
担保として預ける仮想通貨は、事業者側で管理されるため、セキュリティ体制の確認は極めて重要です。コールドウォレットでの保管やマルチシグ(複数署名)対応の有無、情報漏洩・ハッキング対策など、資産保護に関する仕組みが整っているかをチェックしましょう。
また、万が一の事故や不正アクセスに備えて、資産保険や補償制度があるかどうかも確認することで、安心してサービスを利用できます。
まとめ
ビットコイン担保ローンは、保有する暗号資産を売却せずに日本円などの資金を確保できる、柔軟で効率的な資金調達手段です。納税や投資、事業資金の短期ニーズなど、幅広い用途に対応できるのが魅力です。Fintertechや汐留トラスト等、信頼できる提供企業も複数あり、条件を比較すれば自分に合ったサービスが見つかります。
ただし、価格変動によるロスカットリスクや管理体制の確認といった注意点もあるため、利用前には各種条件やリスクを十分に理解しておくことが重要です。