【結論】仮想通貨の利益は課税対象
仮想通貨(暗号資産)の取引で得た利益は、日本において課税対象となります。ビットコインをはじめとする仮想通貨の売買や交換によって生じた利益には、原則として税金がかかることを理解しておきましょう。
多くの方が誤解されているのですが、仮想通貨を保有しているだけでは税金は発生しません。実際に売却したり、他の仮想通貨と交換したり、商品やサービスの購入に使用した際に利益が確定し、その時点で課税対象となります。
仮想通貨の税金はいつの時点の利益に対して発生する?
仮想通貨の税金が発生するタイミングは、主に以下の4つのケースです。
1つ目は、仮想通貨を日本円などの法定通貨に売却したときです。例えば、100万円で購入したビットコインを150万円で売却した場合、差額の50万円が利益として課税対象となります。
2つ目は、仮想通貨で商品やサービスを購入したときです。仮想通貨決済に対応している店舗で買い物をした際、その時点での仮想通貨の価値と取得時の価格の差額が利益として認識されます。
3つ目は、仮想通貨同士を交換したときです。ビットコインをイーサリアムに交換するような取引も、税制上は一度日本円に換算して利益を計算する必要があります。
4つ目は、マイニングやステーキング、エアドロップなどで仮想通貨を取得したときです。これらの方法で得た仮想通貨は、取得時点の時価が収入として計上されます。
個人と法人では税金の取り扱いが異なる点に注意
個人が仮想通貨取引を行う場合と、法人として取引を行う場合では、税金の取り扱いが大きく異なります。
個人の場合、仮想通貨の利益は原則として雑所得に分類され、総合課税の対象となります。所得税と住民税を合わせると、最大で約55%の税率が適用される可能性があります。
一方、法人の場合は、仮想通貨の利益も他の事業収入と同様に法人税の対象となります。法人税率は法人の規模によって異なりますが、一般的に23.2%程度となっており、個人の最高税率と比較すると低い水準に設定されています。
また、法人は仮想通貨の評価損益を計上できるという点も大きな違いです。期末時点で保有している仮想通貨の含み損益を損益計算書に反映させることができるため、税務上の取り扱いがより柔軟になります。
【重要】仮想通貨の利益は何所得になる?
仮想通貨取引で得た利益の所得区分を正しく理解することは、適切な確定申告を行う上で非常に重要です。所得区分によって税率や控除の適用が異なるため、自分の取引がどの所得に該当するかを把握しておく必要があります。
原則は「雑所得」としての取り扱い
個人が行う仮想通貨取引による利益は、原則として「雑所得」に区分されます。雑所得とは、給与所得や事業所得など他の所得区分に該当しない所得全般を指します。
雑所得として扱われる仮想通貨の利益は、総合課税の対象となります。これは、給与所得など他の所得と合算して税額を計算する方式で、所得が増えるほど税率が高くなる超過累進税率が適用されます。
雑所得の特徴として、必要経費の計上は認められますが、損失が生じた場合の他の所得との損益通算や、翌年以降への繰越控除ができないという制限があります。
事業として仮想通貨取引を行っている場合は「事業所得」の可能性も
仮想通貨取引が事業規模で行われている場合は、雑所得ではなく「事業所得」として認められる可能性があります。事業所得として認められるためには、以下のような要件を満たす必要があります。
まず、取引の頻度と規模が重要な判断基準となります。毎日のように売買を繰り返し、相当な金額の取引を行っている場合は、事業性が認められやすくなります。
次に、仮想通貨取引を生計の主要な収入源としているかどうかも考慮されます。専業トレーダーとして活動している場合は、事業所得として認められる可能性が高くなります。
また、取引のための専用の事務所や設備を有し、帳簿を作成して継続的に管理している場合も、事業性の判断材料となります。
雑所得と事業所得の違いとは?
雑所得と事業所得には、税務上の取り扱いにおいて重要な違いがあります。
最も大きな違いは、損益通算と繰越控除の可否です。事業所得の場合、その年に損失が生じたときは、給与所得など他の所得と損益通算することができます。さらに、損益通算してもなお控除しきれない損失は、青色申告をしていれば最大3年間繰り越すことが可能です。
青色申告特別控除の適用も事業所得の大きなメリットです。適切な帳簿を作成し、青色申告を行うことで、最大65万円の特別控除を受けることができます。これにより、実質的な税負担を軽減することが可能となります。
一方で、事業所得として申告する場合は、より厳格な帳簿の作成と保存が求められます。取引の記録を詳細に残し、収支を正確に把握する必要があるため、管理面での負担は増加します。
仮想通貨の税金はいくら?税率と計算方法の基本
仮想通貨取引で利益を得た場合、実際にいくらの税金を支払う必要があるのでしょうか。ここでは、個人が仮想通貨取引を行った場合の税率と計算方法について詳しく解説します。
個人の場合:総合課税の対象・超過累進税率
個人が仮想通貨取引で得た利益は、総合課税の対象となります。総合課税とは、給与所得や事業所得など他の所得と合算して税額を計算する方式です。
日本の所得税は超過累進税率を採用しており、所得が多いほど高い税率が適用されます。これは、所得の増加に応じて段階的に税率が上がる仕組みで、公平な税負担を実現するための制度です。
仮想通貨の利益が雑所得として扱われる場合も、この超過累進税率が適用されます。つまり、仮想通貨の利益が多ければ多いほど、より高い税率で課税されることになります。
所得税の速算表と具体的な税率
所得税の税率は、課税所得金額に応じて以下のように設定されています。
課税所得金額が195万円以下の場合、税率は5%です。195万円を超え330万円以下の部分には10%、330万円を超え695万円以下の部分には20%の税率が適用されます。
さらに、695万円を超え900万円以下の部分は23%、900万円を超え1,800万円以下の部分は33%、1,800万円を超え4,000万円以下の部分は40%となります。そして、4,000万円を超える部分については、最高税率の45%が適用されます。
例えば、給与所得が500万円で、仮想通貨の利益が300万円あった場合、合計所得は800万円となります。この場合、各所得区分に応じた税率で計算され、所得税額が決定されます。
一律10%の住民税もかかる
所得税とは別に、住民税も課税されます。住民税は、前年の所得に対して課税される地方税で、税率は一律10%(都道府県民税4%、市町村民税6%)です。
住民税は所得税のような超過累進税率ではなく、所得金額に関わらず一律の税率が適用されます。つまり、仮想通貨の利益が100万円でも1,000万円でも、住民税率は10%で変わりません。
所得税と住民税を合わせると、最大で約55%の税率となる可能性があります。これは、所得税の最高税率45%に住民税10%を加えた数字です。高額な利益を得た場合は、その半分以上が税金として徴収される可能性があることを認識しておく必要があります。
仮想通貨の所得金額の計算方法
仮想通貨の所得金額を正確に計算することは、適切な確定申告を行う上で極めて重要です。ここでは、具体的な計算手順を4つのステップに分けて解説します。
ステップ1:年間の取引履歴をすべて収集する
まず最初に行うべきは、その年の1月1日から12月31日までのすべての仮想通貨取引の履歴を収集することです。利用している取引所から年間取引報告書をダウンロードし、すべての売買記録を確認します。
複数の取引所を利用している場合は、それぞれの取引所から取引履歴を取得する必要があります。また、取引所以外でのP2P取引や、ウォレット間の送金記録なども漏れなく収集しましょう。
取引履歴には、取引日時、取引種別(購入・売却・交換など)、数量、価格などの情報が含まれている必要があります。これらの情報が不足している場合は、取引所に問い合わせて正確なデータを入手することが重要です。
ステップ2:総平均法や移動平均法で計算する
仮想通貨の取得価額を算定する方法として、総平均法と移動平均法の2つが認められています。どちらの方法を選択するかによって、計算される所得金額が変わる可能性があります。
総平均法は、1年間に取得した仮想通貨の取得価額の合計を、取得した数量の合計で割って平均単価を算出する方法です。計算が比較的簡単で、年度末に一括して計算できるメリットがあります。
移動平均法は、仮想通貨を取得するたびに、その時点での平均単価を計算し直す方法です。より実態に即した計算ができますが、取引のたびに計算が必要となるため、手間がかかります。
一度選択した計算方法は、原則として3年間は変更できないため、自分の取引スタイルに合った方法を慎重に選ぶ必要があります。
ステップ3:日本円での評価額を正確に把握する
仮想通貨同士の交換や、仮想通貨での商品購入を行った場合、その時点での日本円での評価額を把握する必要があります。
取引時点での仮想通貨の時価は、利用した取引所のレートを参考にするのが一般的です。ただし、取引所によってレートが異なる場合があるため、実際に取引を行った取引所のレートを使用することが推奨されます。
海外の取引所を利用している場合は、外貨建ての取引価格を日本円に換算する必要があります。この際は、取引日の為替レート(TTM:仲値)を使用して換算します。
ステップ4:売却・交換・使用時の所得を計算する
最後に、実際の所得金額を計算します。基本的な計算式は「売却価額-取得価額-必要経費=所得金額」となります。
例えば、100万円で購入したビットコインを150万円で売却し、取引手数料が1万円かかった場合、所得金額は「150万円-100万円-1万円=49万円」となります。
仮想通貨同士の交換の場合も、一度日本円に換算して計算します。ビットコインをイーサリアムに交換した場合、交換時のビットコインの時価から取得価額を差し引いた金額が所得となります。
仮想通貨取引の必要経費の範囲
仮想通貨取引で発生した費用のうち、必要経費として認められるものを適切に計上することで、課税所得を減らすことができます。ここでは、主な必要経費について解説します。
取引手数料
仮想通貨取引において最も一般的な必要経費は、取引所で発生する各種手数料です。これには以下のようなものが含まれます。
- 売買手数料:ビットコインなどの仮想通貨を売買する際に発生する手数料
- 入出金手数料:日本円や仮想通貨を入金・出金する際にかかる手数料
- 交換手数料:異なる仮想通貨同士を交換する際の手数料
これらの手数料は取引所によって金額や計算方法が異なりますが、国内主要取引所では取引額の0.1~1%程度の手数料が一般的です。年間の取引が多い場合、これらの手数料の合計額は無視できない金額になることもあります。
取引手数料は確定申告時に必要経費として計上できるため、取引所から発行される年間取引報告書などで金額を確認しておくことが重要です。
仮想通貨の勉強代
仮想通貨投資のために支出した「勉強代」も、一定の条件を満たせば必要経費として認められる可能性があります。ただし、すべての勉強代が無条件で経費になるわけではないことに注意が必要です。
経費として認められる可能性がある勉強代の例
- 仮想通貨に関する専門書籍の購入費
- 投資セミナーや勉強会の参加費
- 有料の投資情報サービスの利用料
これらの費用を経費として計上する場合、「仮想通貨取引のために必要だった」という合理的な説明ができることが重要です。また、領収書やクレジットカードの明細など、支出の証明ができる資料を保管しておくことをおすすめします。
税理士への相談費用
仮想通貨の確定申告は複雑なケースが多く、専門家である税理士に相談するケースも少なくありません。この税理士への相談費用や申告代行費用も、仮想通貨取引に関する必要経費として認められます。
仮想通貨の税務に詳しい税理士に依頼すれば、適切な申告方法や節税対策のアドバイスを受けられるだけでなく、その費用自体も経費になるというメリットがあります。特に取引量が多い場合や、DeFi(分散型金融)などの複雑な取引を行っている場合は、税理士に相談することで安心して確定申告を行うことができます。
税理士費用の相場は案件の複雑さによって大きく異なりますが、仮想通貨の確定申告の場合、一般的に3万円~10万円程度が目安となります。複雑なケースではさらに高額になることもあります。
パソコン購入費用や通信費の一部(按分が必要)
仮想通貨取引のためにパソコンを購入した場合や、インターネット接続のための通信費も、一定の条件を満たせば必要経費として認められる可能性があります。ただし、これらの費用は仮想通貨取引以外の目的でも使用されることが一般的なため、利用割合に応じた「按分」が必要です。
例えば、パソコンを購入した場合
- 10万円未満の場合:購入した年の経費として計上可能
- 10万円以上の場合:減価償却として複数年に分けて経費計上
通信費の場合は、仮想通貨取引に使用した割合を合理的に算出し、その分だけを経費として計上します。例えば、通信費が月額5,000円で、仮想通貨取引に30%使用していると考えられる場合、月額1,500円を経費として計上できる可能性があります。
こうした按分計算の根拠については、税務調査などに備えて説明できるようにしておくことが重要です。
損益通算と繰越控除について
仮想通貨取引で発生した利益や損失は、他の所得とどのように通算できるのか、また損失を翌年以降に繰り越せるのかという点は、多くの投資家が疑問に思う点です。ここでは、仮想通貨取引における損益通算と繰越控除の仕組みについて解説します。
雑所得内での損益通算はできる?
仮想通貨取引で得られる所得は「雑所得」に分類されます。同一の雑所得内での損益通算は可能です。つまり、同じ年に複数の仮想通貨取引を行い、あるコインで利益が出て、別のコインで損失が出た場合、それらを相殺して計算することができます。
例えば、
- ビットコインの取引で50万円の利益
- イーサリアムの取引で30万円の損失
この場合、雑所得として申告する金額は、50万円 – 30万円 = 20万円となります。
また、仮想通貨以外の雑所得(原稿料や講演料など)とも損益通算が可能です。雑所得内であれば、所得の種類が異なっても通算できるのが特徴です。
他の所得(給与所得など)との損益通算は原則不可
仮想通貨取引で生じた損失は、給与所得や事業所得など、雑所得以外の所得と損益通算することはできません。これは税法上の原則であり、所得区分が異なる場合の損益通算は限定的なケースを除いて認められていません。
例えば、会社員の方が仮想通貨取引で損失を出した場合、その損失を給与所得から差し引いて税金を減らすことはできません。同様に、個人事業主の方も、事業所得と仮想通貨取引による雑所得の損益通算はできません。
この点は株式投資などの譲渡所得と大きく異なる点であり、仮想通貨投資の税制上のデメリットと言えるでしょう。
損失の繰越控除は現状できない
現行の税制では、仮想通貨取引で生じた損失を翌年以降に繰り越すことはできません。つまり、今年大きな損失が出ても、来年以降の利益から差し引くことはできないということです。
これは株式投資の損失繰越(最大3年間)と比較すると、仮想通貨投資家にとって大きなデメリットとなっています。そのため、仮想通貨取引では、年をまたいで損失と利益が出ると、税制上非効率になる可能性があることを理解しておく必要があります。
業界団体などからは損失繰越制度の導入を求める声が上がっていますが、本記事執筆時点では制度化されていません。税制は毎年見直される可能性があるため、最新の情報を確認することをおすすめします。
確定申告が必要なケース
仮想通貨取引を行った場合、どのような状況で確定申告が必要になるのでしょうか。ここでは、主な納税者のタイプ別に、確定申告が必要になるケースを解説します。
会社員(給与所得者):仮想通貨の所得が20万円を超える場合
会社員(給与所得者)の方は、仮想通貨取引による雑所得が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。この20万円という基準は、給与所得者の「副収入」に対する申告基準として設定されているものです。
例えば、年間を通じて仮想通貨取引を行い、利益の合計が25万円だった場合は確定申告が必要です。一方、利益が15万円だった場合は、原則として確定申告は不要です。
ただし、雑所得が20万円以下でも、住民税の申告は別途必要になる場合があります。また、損失が出た場合でも、将来的に税制が変わる可能性を考慮して、記録のために確定申告しておくという選択肢もあります。
会社員(給与所得者):給与収入が2,000万円を超える場合
給与収入が2,000万円を超える会社員の方は、仮想通貨取引による所得の金額にかかわらず確定申告が必要になります。これは、高所得者に対する「年末調整だけでは足りない」という税制上の取り扱いによるものです。
給与収入が2,000万円を超える場合、仮想通貨取引で1円でも利益が出ていれば申告する必要があります。また、この場合は住民税の申告も同時に必要です。
なお、給与収入と給与所得は異なる概念であることに注意が必要です。給与所得は給与収入から給与所得控除を差し引いた金額になります。
個人事業主・フリーランス:1年間の所得が48万円を超える場合
個人事業主やフリーランスの方は、1年間の所得の合計(事業所得や雑所得など全ての所得)が48万円を超える場合、確定申告が必要になります。この48万円という基準は、基礎控除額に由来しています。
例えば、本業の事業所得が40万円、仮想通貨取引による雑所得が10万円の場合、合計所得は50万円となり、確定申告が必要です。
個人事業主の方は、仮想通貨取引による所得も含めて総合的に所得を計算し、申告する必要があります。また、所得税だけでなく、住民税や国民健康保険料、国民年金保険料なども所得に応じて変動するため、正確な申告が重要です。
仮想通貨の確定申告の手順と流れ
仮想通貨取引の確定申告は、初めての方にとっては複雑に感じられるかもしれません。ここでは、確定申告の具体的な手順を5つのステップに分けて解説します。
ステップ1:年間の取引報告書(年間損益計算書)を入手する
確定申告の第一歩は、1年間の取引履歴と損益を把握することです。多くの仮想通貨取引所では、ユーザー向けに「年間取引報告書」や「損益計算書」などのサービスを提供しています。これらの書類を入手することで、確定申告に必要な情報を効率的に集めることができます。
主要な国内取引所では、以下のような方法で年間取引報告書を入手できます。
- 取引所のウェブサイトにログイン
- 「確定申告」「税金」などのメニューを選択
- 対象年の取引報告書をダウンロード
複数の取引所を利用している場合は、それぞれの取引所から報告書を入手し、合算して計算する必要があります。また、海外取引所を利用している場合は、取引履歴をCSVファイルなどでダウンロードし、自分で計算するか、仮想通貨の税金計算に対応した会計ソフトを利用することをおすすめします。
ステップ2:必要書類を準備する(本人確認書類、所得証明書類など)
確定申告に必要な書類を準備します。主に以下のような書類が必要になります:
- 本人確認書類
- マイナンバーカードまたはマイナンバー通知カードと身分証明書
- 運転免許証やパスポートなど
- 所得証明書類
- 給与所得者の場合:源泉徴収票
- 個人事業主の場合:収支内訳書など
- 仮想通貨取引の証明書類
- 各取引所の年間取引報告書
- 自分で作成した損益計算書
- 取引履歴のCSVデータなど
- その他必要に応じて
- 医療費控除を受ける場合:医療費の領収書
- 住宅ローン控除を受ける場合:住宅ローン残高証明書など
これらの書類は、e-Taxで申告する場合でもスキャンして添付する必要があるケースがあるため、事前に準備しておきましょう。
ステップ3:確定申告書を作成する(手書き、国税庁HP、会計ソフト)
確定申告書を作成する方法はいくつかあります。自分のスキルや状況に合わせて選びましょう。
1. 国税庁のホームページを利用する方法
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すると、画面の案内に従って入力するだけで確定申告書を作成できます。初めての方でも比較的わかりやすく、無料で利用できるのが特徴です。
利用手順
- 国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」にアクセス
- 「書類の作成開始」を選択
- 画面の指示に従って必要事項を入力
- 仮想通貨の所得は「雑所得」に入力
- 申告書のPDFをダウンロードまたは直接e-Taxで送信
仮想通貨取引による所得は「雑所得」として申告するのが原則です。「確定申告書B」の「雑所得」欄に、年間の利益額を入力します。複数の所得がある場合は、それぞれ該当する欄に入力します。
2. 確定申告書を手書きで作成する方法
税務署で確定申告書の用紙を入手し、手書きで記入する方法もあります。ただし、計算が複雑になりやすく、記入ミスのリスクもあるため、特に仮想通貨取引が多い場合はおすすめできません。
3. 会計ソフトや仮想通貨専用の税金計算サービスを利用する方法
仮想通貨取引に対応した税金計算サービスや会計ソフトを利用すると、複雑な計算を自動化できます。特に以下のようなケースでは検討する価値があります。
- 複数の取引所を利用している
- 取引回数が多い
- DeFiなど複雑な取引を行っている
- 海外取引所を利用している
主な仮想通貨税金計算サービスには、Cryptact(クリプタクト)、CoinTax(コインタックス)、Accounting for Crypto(アカウンティング・フォー・クリプト)などがあります。これらのサービスでは、各取引所からのデータを自動的に取り込み、損益計算を行うことができます。一部の基本機能は無料で利用できますが、本格的な利用には有料プランへの加入が必要な場合が多いです。
ステップ4:税務署へ提出する(e-Tax、郵送、持参)
作成した確定申告書は、以下のいずれかの方法で税務署に提出します。
1. e-Taxで電子申告する方法
e-Taxは国税電子申告・納税システムのことで、インターネットを通じて確定申告書を提出できるサービスです。24時間いつでも申告でき、添付書類の提出が省略できるなどのメリットがあります。
e-Taxを利用するには、主に以下の2つの方法があります。
a) マイナンバーカード方式
- マイナンバーカードとICカードリーダーまたはスマートフォンを使用
- マイナポータルアプリを利用して電子署名
- 初回登録時にe-Taxの利用者識別番号を取得
b) ID・パスワード方式
- 事前に税務署でID・パスワードの発行手続きが必要
- 発行された「ID・パスワード方式の届出完了通知」を用いて申告
- 身分証明書の提示が必要
e-Taxでの申告手順
- e-Taxソフト、国税庁ホームページの確定申告書作成コーナー、またはマイナポータルにアクセス
- 必要事項を入力し、申告書を作成
- 電子署名を行い、送信
- 受信通知や即時通知を確認・保存
e-Taxを利用すると、添付書類の提出が省略できる場合があります。ただし、書類の保管は必要です。また、還付申告の場合、e-Taxを利用すると還付金の受け取りが早くなる傾向があります。
2. 郵送で提出する方法
確定申告書を郵送で提出する場合は、以下の点に注意しましょう。
- 返信用封筒(切手貼付済み)を同封すると、受付印を押した申告書の控えが返送されます
- 簡易書留など、記録が残る方法での郵送がおすすめ
- 申告期限(通常2月16日〜3月15日)の消印があれば有効
郵送先は、納税地(通常は住所地)を管轄する税務署です。国税庁のホームページで、自分の住所を管轄する税務署を確認できます。
3. 税務署に持参する方法
税務署に直接持参して提出することもできます。この方法のメリットは、不明な点があればその場で質問できることです。特に初めての確定申告や複雑な申告の場合は、税務署の職員に相談しながら進められます。
確定申告期間中(2月16日〜3月15日)は税務署が混雑するため、時間に余裕をもって訪問することをおすすめします。また、新型コロナウイルス感染症の影響で、事前予約制を導入している税務署もあるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
持参する際は、作成した確定申告書と必要書類(マイナンバーカードや身分証明書など)を忘れずに持っていきましょう。
ステップ5:納税または還付の手続きを行う
確定申告書を提出した後は、納税または還付の手続きを行います。
1. 納税が必要な場合
確定申告の結果、納税が必要な場合は、以下のいずれかの方法で納付します。納付期限は、通常3月15日です。
a) 銀行やコンビニでの納付
- 納付書を使って銀行やコンビニエンスストアで納付
- 納付書は確定申告書と一緒に作成するか、税務署で入手可能
b) 電子納税(ダイレクト納付、インターネットバンキング等)
- e-Taxで申告した場合、ダイレクト納付が便利
- 事前に税務署へ届出が必要
- 指定した金融機関の口座から直接納付できる
c) クレジットカード納付
- 国税庁長官が指定する納付受託者のサイトから手続き
- 納付金額の約1%の決済手数料がかかる
d) 振替納税
- 事前に税務署へ口座振替依頼書を提出
- 指定した金融機関の口座から自動的に引き落とし
- 引き落とし日は所得税の場合4月中旬頃
納税額が高額で一括納付が困難な場合は、分割納付や延納の制度もあります。困難な事情がある場合は、事前に税務署に相談しましょう。
2. 還付が受けられる場合
確定申告の結果、還付金が発生する場合(納めすぎた税金がある場合)は、申告書に記載した金融機関の口座に還付金が振り込まれます。
還付までの期間は、申告方法や時期によって異なりますが、一般的には
- e-Taxで早期(1月〜2月)に申告:約2〜3週間
- 書面で確定申告期間中に申告:約1〜2ヶ月
還付申告は、確定申告期間(2月16日〜3月15日)前でも行うことができます。早めに申告すると、還付金も早く受け取れます。