暗号資産を現金化するには?主な方法と特徴を解説
暗号資産を現金化する方法は複数ありますが、主に「取引所」「販売所」「ビットコインATM」「プリペイドカード」「P2P取引」に分けられます。
それぞれに手数料や利便性、リスクの違いがあるため、自分の目的に合った換金方法を選ぶことが重要です。特に初めて暗号資産を現金化する方は、信頼性が高く安全な手段を選ぶことでトラブルを回避できます。
この章では、各手段の特徴やメリット・デメリットを詳しく解説します。
仮想通貨取引所で換金する
最も一般的で安全性が高い換金方法は、仮想通貨取引所を利用することです。保有している暗号資産を日本円に売却し、銀行口座へ出金する流れが基本です。
取引所では、市場価格に近いレートで売買が行えるため、スプレッド(価格差)が小さい点もメリットです。主要な取引所には、Coincheck・bitFlyer・GMOコイン等があり、手数料や出金スピードに違いがあります。初心者でも利用しやすく、本人確認や二段階認証などのセキュリティ面も充実しています。
販売所を利用して換金する
仮想通貨販売所は、取引所に比べて操作が簡単で、すぐに暗号資産を現金化したい方に向いています。
販売所は業者が提示する価格で売買を行うため、ユーザー同士のマッチングを待つ必要がありません。その反面、スプレッドが大きく、取引所よりも換金レートが不利になる場合があります。少額の取引や初心者には便利ですが、大きな資産を換金する際は注意が必要です。スムーズに換金したい場面での利用に適しています。
ビットコインATMを使って現金化する
ビットコインATMを利用すると、暗号資産を直接日本円に換金して現金で受け取ることができます。全国の一部都市に設置されており、スマートフォンからウォレットを使って送金し、その場で現金を引き出せる仕組みです。
ただし、対応している通貨は主にビットコインであり、利用可能なATMの数も限られています。また、手数料が高めに設定されているケースが多いため、利便性とコストのバランスを考慮する必要があります。
プリペイドカードやデビットカードで間接的に現金化する
暗号資産を現金化する別の手段として、仮想通貨対応のプリペイドカードやデビットカードを利用する方法があります。暗号資産をチャージしてコンビニやATMで使えるカードもあり、日常の買い物や引き出しで間接的に換金が可能です。
例えば、bitFlyerやBinance等が提供するカードが有名です。ただし、発行には審査がある場合があり、利用可能エリアや出金上限にも制限があります。即時性や利便性を求める方には有効な手段です。
個人間取引(P2P)での換金(※リスクあり)
個人間取引(P2P取引)では、暗号資産を直接他人に売却して現金化する方法です。取引所を介さずに取引できるため、手数料を抑えやすいのがメリットですが、その分リスクも伴います。詐欺や未払いなどのトラブルが起こる可能性があり、信頼できる相手と取引することが前提です。
中上級者向けの換金方法であり、トラブル防止のためにも本人確認やエスクロー機能付きのプラットフォームを利用するのが望ましいです。
仮想通貨取引所での現金化手順
仮想通貨を日本円へ現金化するには、仮想通貨取引所を利用するのが最も一般的で安全な方法です。
基本的な流れは、下記のとおりです。
- 取引所へ暗号資産を送金
- 売却して日本円に換金
- 銀行口座へ出金
取引所ごとに操作方法や手数料、出金対応時間が異なるため、事前に確認しておくとスムーズに進められます。初心者でも手順を把握しておけば、ミスなく確実に暗号資産を現金化できます。
ここでは、それぞれの手順を詳しく解説します。
ステップ①:取引所に暗号資産を送金する
まずは、保有している暗号資産を仮想通貨取引所の自分のウォレットアドレスへ送金します。取引所の入金ページで該当通貨を選び、表示されたアドレスをコピーして、送金元ウォレットに貼り付けて送信します。送金時には誤送信を防ぐためアドレスの確認が必須です。
送金にかかる時間や手数料は通貨やネットワークの混雑状況により異なるため、事前にチェックしておきましょう。
ステップ②:取引所で暗号資産を売却する
暗号資産の着金が確認できたら、次に売却処理を行います。
取引所の「現物取引」や「販売所」等の売却機能を使って、暗号資産を日本円に換金します。市場価格に合わせて売却価格を設定できる「指値注文」と、即時売買が可能な「成行注文」があります。相場を確認して有利な価格で売却できれば、手元の資産を最大限に活用できます。売却後の日本円は取引所口座に反映されます。
ステップ③:日本円を口座へ出金する
売却して得た日本円は、取引所に登録した本人名義の銀行口座へ出金できます。
出金手続きは「出金」メニューから金額と口座情報を指定し、確認後に申請します。出金が反映されるまでの時間は取引所や銀行によって異なりますが、通常は翌営業日〜数日以内です。出金手数料も取引所によって設定されているため、事前に確認しておきましょう。
これで暗号資産の現金化が完了します。
通貨の種類と取引所の対応状況に注意
暗号資産を現金化する際は、保有している通貨が取引所で対応しているかを確認することが重要です。代表的なビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)、リップル(XRP)等の主要通貨は多くの取引所で対応していますが、アルトコインやマイナー通貨は対応していないケースもあります。
取引所によって取り扱い銘柄が異なるため、事前の確認が換金トラブルの防止につながります。
BTC、ETH、XRPなど主要通貨とマイナー通貨で換金可否が異なる
暗号資産の中でも、BTC・ETH・XRPといった主要通貨は、ほぼすべての国内取引所で対応しており、現金化もスムーズです。
一方、IOSTやENJ等のマイナー通貨は、特定の取引所でしか換金できない場合があります。そのため、あらかじめどの通貨をどの取引所で現金化できるのか調べておくことが大切です。特に複数のアルトコインを保有している場合は、対応状況を確認したうえで取引所を選びましょう。
取引所ごとの取り扱い通貨と出金手数料の比較
仮想通貨取引所によって、対応通貨の数や出金時の手数料が大きく異なります。
例えば、Coincheckは主要通貨に強く、操作も簡単ですが、出金手数料は一律で高めです。bitbankやGMOコインは取引手数料が低い代わりに、出金回数や額に制限があることも。
自分の換金頻度や通貨の種類に合わせて、最適な取引所を選ぶことがコスト削減とスムーズな現金化につながります。事前比較が重要です。
暗号資産を現金化するベストなタイミングとは?
暗号資産を現金化するタイミングは、利益を最大化するために非常に重要です。価格変動が大きい仮想通貨市場では、「いつ売るか」が損益に直結します。高騰時に売却するのはもちろん、経済ニュースの影響や税制上の区切りなども考慮すべきポイントです。
単に思いつきで売却するのではなく、事前に目標価格や出口戦略を決めておくことで、計画的な資産運用が可能になります。
価格が高騰したとき
暗号資産の価格が大幅に上昇したタイミングは、現金化の絶好のチャンスです。特にビットコインやイーサリアム等の主要通貨は、短期間で数十%の値動きが起こることもあり、利益確定を逃すと含み益が一気に減少するリスクもあります。
目標価格をあらかじめ設定し、到達したら迷わず売却することで、感情に流されず効率的に資産を増やせます。高騰時の判断が資産形成に大きく影響します。
重大な経済ニュースやイベントの直後
経済指標の発表や大手企業の仮想通貨参入など、重要なニュースが出た直後は市場が大きく動く傾向があります。ポジティブなニュースで価格が一時的に上昇することが多いため、そのタイミングを逃さずに現金化するのも有効な戦略です。
一方、ネガティブニュースによる暴落リスクもあるため、情報収集と迅速な判断が求められます。経済イベントを活用した売却は、相場を読む力が重要です。
税制面で有利な年末のタイミング
暗号資産の利益は「雑所得」に分類され、年間20万円を超えると確定申告が必要になります。年末は1年分の利益を計算・調整できる時期であり、含み益・含み損を見ながら利益確定や損出しを行うことで、税負担を軽減できる可能性があります。
また、年内に現金化すべきか、翌年に持ち越すべきかを判断する上でも重要なタイミングです。節税の観点からも、年末は現金化の好機といえます。
換金時にかかる費用と税金に注意
暗号資産を現金化する際には、見落としがちな手数料や税金が発生します。取引所での売却時や銀行口座への出金には所定の手数料がかかり、換金額から差し引かれるため注意が必要です。また、仮想通貨の売却益は税務上「雑所得」に分類されるため、年間の利益によっては確定申告が義務となります。
正確な損益計算を行い、費用や税金を見越した上で現金化を行うことで、想定外の出費を防ぐことができます。
ここでは、注意する点についてお伝えします。
取引手数料・出金手数料の相場
仮想通貨を換金する際、まず発生するのが取引手数料と出金手数料です。取引手数料は、取引所で売買を行うたびにかかり、0.01%〜0.15%程度が一般的です。
また、換金後に日本円を銀行口座へ出金する場合、多くの取引所では300円〜600円前後の出金手数料がかかります。取引所によって手数料体系が異なるため、事前に比較しておくと、手元に残る金額を最大化できます。コストを抑えるには重要なポイントです。
税金:暗号資産の利益は「雑所得」として課税対象
暗号資産の売却によって得た利益は、税法上「雑所得」として扱われます。これは給与所得などと合算され、総合課税の対象となるため、所得が高いほど高い税率が適用されます。特に累進課税制度により、課税所得に応じて5%〜最大55%(所得税+住民税)の税率がかかるため、思わぬ税負担となることも。
正確な利益計算を行い、納税額を把握することが、資産運用の成功には欠かせません。
年間20万円を超える利益がある場合は確定申告が必要
会社員など給与所得者であっても、仮想通貨の売却等で1年間に20万円を超える雑所得が発生した場合は、確定申告が必要になります。確定申告を怠ると、延滞税や加算税などのペナルティを受けるリスクもあるため注意が必要です。
取引履歴の保存や税務ソフトの活用で、早めに準備を進めることが重要です。正しい納税は、安心して暗号資産を運用する第一歩といえるでしょう。
安全に暗号資産を現金化するためのポイント
暗号資産を現金化する際には、セキュリティ対策を万全にすることが不可欠です。仮想通貨はオンラインでの取引が中心のため、不正アクセスや詐欺被害のリスクが常に伴います。信頼性の高い国内取引所を利用し、二段階認証などのセキュリティ機能を活用することで、資産を守りながら安全に現金化できます。
また、フィッシングサイトや詐欺業者の手口も年々巧妙化しているため、最新の情報を収集して自衛する意識が重要です。
この章では、安全に暗号資産を現金化するためのポイントを3つ紹介します。
信頼できる国内取引所を選ぶ
仮想通貨の現金化は、金融庁に登録された正規の国内取引所を利用するのが最も安全です。Coincheck、bitFlyer、GMOコイン等、実績とセキュリティに定評のある取引所を選ぶことで、不正アクセスや資金流出のリスクを大幅に減らせます。
公式アプリの使いやすさやサポート体制も確認しておくと、トラブル時の対応も安心です。取引所の信頼性は、資産を守る第一条件です。
二段階認証やセキュリティ対策を徹底
暗号資産の取引では、アカウントの乗っ取り防止のために二段階認証の設定が必須です。ID・パスワードだけでのログインは非常に危険であり、SMS認証や認証アプリ(Google Authenticatorなど)を活用することで、セキュリティを大幅に強化できます。
また、取引履歴の定期確認やパスワードの定期変更、不審メールへの警戒など、日常的なリスク管理も徹底しましょう。
詐欺被害やフィッシングサイトに注意
暗号資産の人気拡大に伴い、詐欺やフィッシング詐欺も増加しています。正規サイトを装った偽サイトにログイン情報を入力してしまい、資産を失うケースも多数報告されています。URLをしっかり確認し、「https」や公式ドメインが使用されているかどうかを常にチェックしましょう。
また「絶対儲かる」等の投資勧誘も詐欺の可能性が高く、安易に情報を渡さないよう注意が必要です。
まとめ:暗号資産の現金化は計画的に行おう
暗号資産の現金化には複数の手段があり、それぞれに利便性やコスト、リスクが異なります。取引所を使った換金が最も一般的で安全ですが、販売所やATM、プリペイドカード、P2P取引なども状況に応じて有効です。
また、通貨の種類や取引所の対応、税金や出金手数料なども事前に確認が必要です。特に税務申告やセキュリティ対策を怠ると、資産を失うリスクもあるため、信頼できる取引所を選び、正しい手順と知識で現金化を進めましょう。
この記事を参考に、損をせず安全に暗号資産を換金する準備を整えてください。