世界的指数プロバイダーMSCIが、デジタル資産財務保有企業(DATCOs)の主要指数からの除外を見送ると発表。この決定を受け、マイクロストラテジー(MSTR)株は1月7日早朝に一時7%急騰した。
市場は「強制売却」という最悪シナリオの回避に安堵したが、MSCIが突きつけた条件は、ストラテジーの拡大戦略に新たな制約をもたらすものとなった。
■ 除外見送りで回避された「数十億ドルの売り圧力」
MSCIはこれまで、総資産の過半をビットコインなどで保有する企業を「投資会社」として再分類し、主要指数から除外すべきか検討してきた。
除外された場合の影響
- MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)などからの排除
- パッシブ運用ファンドによる数十億ドル規模の強制売り
- ストラテジー1社だけで最大28億ドルの売り圧力発生の可能性
市場の反応
現在MSCI指数に採用されている企業は既存要件を満たす限り地位維持
MSTR株は発表直後に170ドル超まで急騰
その後、ビットコイン価格の調整(91,000ドル台)に連れ165ドル近辺(前日比4%高)まで縮小
■ 突きつけられた「条件付き猶予」──拡大戦略への重石
今回の決定は完全な勝利ではない。MSCIは「事業会社と投資会社の区別にはさらなる調査が必要」との立場を維持している。
最大の制約:新規株式発行時のウェイト引き上げ禁止
MSCIは暫定措置として、「新規株式発行に伴う指数ウェイトの引き上げを認めない」方針を示した。
これが意味するのは、
→ ストラテジーのATMオファリング(株式市場からの資金調達)
→ 調達資金でBTC購入
→ 指数の買い需要(パッシブ・インフロー)に直結しない
つまり、マイケル・セイラーCEOが推進する「株式市場を活用したBTC蓄積戦略」において、インデックス内での存在感拡大という恩恵が得られなくなる。
将来的な除外リスクも残存
MSCIは「指数はあくまで事業会社を追跡するために設計されている」と強調。非事業会社に関する協議は今後も継続するとのシグナルを送っており、完全な安全圏とは言えない状況だ。
■ 業界の反発とフィアット・ワールドの懐疑
ビットコイン業界側の主張
ストラテジーおよび業界団体は、MSCIの提案に対し「バランスシートの構成のみに基づく除外は恣意的であり、指数の中立性を損なう」と猛反発してきた。
既存金融秩序の警戒感
一方、MSCIは機関投資家からの「一部のデジタル資産保有企業は実質的に投資ファンドである」という懸念を認めている。
今回の条件付き決定は、「ビットコイン本位制」という異端の財務戦略に対し、既存の金融秩序(フィアット・ワールド)が依然として懐疑的であることの証左と言えるだろう。
■ 結論:第1ラウンド終了、本番はこれから
短期的な安堵
- 630億ドル相当のBTCを保有する世界最大の財務保有企業ストラテジーは、指数除外リスク後退で即座に買いが入った
- 数十億ドル規模の強制売却という最悪シナリオは回避
中長期的な課題
- 新規発行株のウェイト引き上げ禁止により、拡大戦略に制約
- 将来的な除外可能性は依然として残存
- 「事業会社 vs 投資会社」の線引き議論は継続
指数除外という最悪のシナリオは回避された。
しかし、ウォール街のメインストリームにおける市民権を巡る戦いは、まだ第1ラウンドが終わったに過ぎない。
ストラテジーの「ビットコイン本位制」が真に受け入れられるかどうか──その答えは、今後のMSCIとの対話、そして市場の反応が示すことになるだろう。
本稿執筆時点: ビットコイン価格91,000ドル台前半で推移
