はじめに
ビットコインを「国家の戦略資産」として扱う構想が、米国で急速に現実味を帯びています。トランプ大統領は2025年、大統領令により押収済みビットコインを基にした「戦略的ビットコイン準備金」を創設する方針を表明。
また、テキサスやニューハンプシャーなど複数の州では、ビットコインを公的資産として保有する法案が可決されつつあります。インフレヘッジや財政の安定化を目的に、金に続く“デジタルゴールド”としてビットコインを組み込もうとする動きが進む中、連邦と州の両レベルで今後の制度設計が注目されています。
概要
アメリカでは、連邦政府と各州レベルでビットコインを戦略的準備資産とする法整備が進行中です。2025年3月、トランプ政権は押収済みビットコインを用いた「戦略的ビットコイン準備金」および「米国デジタル資産備蓄」の創設を公式に発表。納税者への新たな負担を伴わず、国家レベルでの備蓄を進める方針です。
さらに州レベルでは、テキサス州やニューハンプシャー州などがビットコインの公的保有を認める法案を可決。経済安定・インフレヘッジ・州独自の競争力強化を狙う動きが広がっています。一方で、アリゾナ州やペンシルベニア州では反対や否決の動きも見られ、各州間の温度差も顕在化しています。
特徴
- 連邦レベル:トランプ政権が「戦略的ビットコイン準備金」と「デジタル資産備蓄」を創設。押収済み暗号資産を原資にし、追加の税負担なしで運用する構想。
- 州レベル:ニューハンプシャー州が全米初の可決。テキサス州は暗号資産マイニングで他州を圧倒し、法案も可決済み。アリゾナ・オクラホマ・フロリダでも法整備が進む。
- 政策目的:インフレ対策・公共資金の分散投資・財政安定化・デジタル経済の推進。
- 課題:ビットコインの価格変動性、公的資金への適合性を懸念する声もあり、一部州では法案否決も。
まとめ
米国では、国家と州の両レベルで「ビットコイン準備金」を導入する動きが本格化しています。押収された暗号資産を活用することで税負担を伴わずに備蓄を行い、インフレやドル下落に備える狙いです。
テキサスやニューハンプシャーなど一部の州は既に法案を可決し、今後は他州にも広がる可能性があります。とはいえ、価格変動リスクなどを理由に否決する州もあり、全米で一律の政策導入には課題が残ります。いずれにせよ、国家戦略の一環として暗号資産が活用される時代が、着実に近づいています。