はじめに
米金融規制当局が仮想通貨に対する根本的な政策転換を表明しました。
証券取引委員会(SEC)のポール・アトキンス委員長と連邦準備制度理事会(FRB)のミシェル・ボウマン副議長が8月20日、ワイオミング・ブロックチェーン・シンポジウムで相次いで発言し、従来の規制アプローチからの決別を宣言。
この政策転換は、米国金融市場の構造的変化と投資環境の劇的な改善をもたらす可能性が高く、投資家にとって新たな機会創出の転換点となりそうです。
概要
発表者:SEC ポール・アトキンス委員長、FRB ミシェル・ボウマン銀行監督担当副議長
発表日時:2025年8月20日、ワイオミング・ブロックチェーン・シンポジウム
政策転換内容:
- SEC「執行による規制」アプローチの完全終了
- FRB金融イノベーション主導権確保への方針転換
- 「プロジェクト・クリプト」による証券規則現代化推進
具体的施策:
- 仮想通貨分類の明確化(デジタル・コレクティブル、デジタル・コモディティ、ステーブルコイン)
- 大半の仮想通貨を証券対象外とする立場明確化
- ハウィー・テスト混乱の解消
- 銀行の仮想通貨活動阻害ガイダンス撤廃
特徴
規制パラダイムシフト アトキンス委員長の「これは新しい時代だ」発言は、従来の取り締まり重視から育成・促進型規制への180度転換を意味し、市場参加者の法的不確実性を大幅に軽減。
金融システム構造改革 FRBボウマン副議長の「分岐点」言及は、中央銀行レベルでの金融イノベーション受容を示唆し、伝統的金融インフラのオンチェーン移行を後押し。
明確な分類体系確立 プロジェクト・クリプトによる仮想通貨カテゴリー整理は、各資産クラスに応じた適切な規制フレームワーク構築を可能にし、投資判断の透明性を向上。
銀行セクター解放 6月以降の段階的な規制緩和(監督プログラム終了、風評リスク削除、活動阻害ガイダンス撤廃)により、金融機関の仮想通貨業務参入障壁が実質的に除去。
まとめ
今回の規制方針転換は、トランプ政権の「米国を世界の仮想通貨首都にする」ビジョン実現に向けた本格始動を意味します。
特に、SEC・FRB両トップによる同時宣言は、連邦レベルでの政策一貫性を示し、機関投資家の本格参入や金融インフラのデジタル化を加速させる触媒となります。
投資家にとっては、法的リスクの大幅軽減と新たな投資機会の拡大により、仮想通貨を含むデジタル資産への戦略的配分を見直す絶好のタイミングが到来したと言えるでしょう。
中長期的には、米国発の規制モデルが他国にも波及し、グローバルな仮想通貨市場の成熟化を促進することが期待されます。