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仮想通貨の損益通算とは?取引の税金・所得計算方法と暗号資産の申告ルールを解説

2025.08.05

仮想通貨

仮想通貨の損益通算とは?基本の考え方

仮想通貨(暗号資産)取引で利益や損失が出た場合、「損益通算」ができるのかどうかは多くの投資家にとって重要なポイントです。特に税金対策や確定申告を正確に行うためには、損益通算の仕組みや対象範囲をしっかり理解しておく必要があります。

以下ではまず、損益通算の基本的な意味とその目的、仮想通貨取引における適用範囲について詳しく紹介します。

損益通算の定義と目的

損益通算とは、1年間に発生した複数の所得において、利益と損失を相殺し、課税される所得金額を減らす仕組みのことです。

例えば、ある仮想通貨取引で100万円の利益が出て、別の取引で50万円の損失が出た場合、損益通算を行うことで課税対象は差し引き50万円となります。

この制度の目的は、同一所得区分内での公正な課税を実現することで、税負担の公平性を保つことにあります。仮想通貨取引では損失も頻繁に発生するため、適切に損益通算を行うことで無駄な税金を抑えることが可能になります。ただし、すべてのケースで通算できるわけではないため、所得区分ごとの扱いも理解しておくことが大切です。

他の所得と損益通算できる?できない?

仮想通貨取引で得た利益は「雑所得」に分類されますが、雑所得は基本的に他の所得(給与所得、不動産所得、事業所得、株やFXなどの譲渡所得や先物所得など)とは損益通算ができません。

つまり、仮想通貨で損失が出ても、株式投資の利益と相殺して税金を減らすといったことは不可能です。さらに、雑所得は「赤字の繰越控除」も認められていないため、翌年以降に損失を持ち越して控除に使うこともできません。

ただし、同じ雑所得内での仮想通貨同士の損益であれば通算可能なケースもあります。したがって、損益通算の範囲を正確に理解しておくことが、税金対策として非常に重要です。

仮想通貨の損失を翌年に繰り越せるのか?

仮想通貨の損失は、原則として翌年以降に繰り越すことはできません。これは、仮想通貨取引による所得が「雑所得」に分類されており、雑所得には「損失の繰越控除」が認められていないためです。

例えば、2025年に100万円の損失が出たとしても、2026年以降にその損失を控除対象として使うことはできません。

株式やFX取引など「譲渡所得」や「先物取引に係る雑所得等」であれば損失の繰越が可能ですが、仮想通貨はこれに該当しない点が大きな違いです。

したがって、損失を活用した節税を考えるのであれば、年内に利益と相殺する「損益最適化」などの方法を検討する必要があります。仮想通貨特有の税制を理解し、適切なタイミングでの取引判断が重要です。

仮想通貨取引で得た利益の所得区分と税制の仕組み

仮想通貨で得た利益は、税制上どのように分類され、どのような課税方法が適用されるのでしょうか。株式やFXと異なる扱いがされており、損益通算や控除の可否にも注意が必要です。

ここでは、仮想通貨の所得区分が「雑所得」となる理由や、雑所得ならではの税制上の制限、そして他の投資商品との損益通算の可否について詳しく解説します。

仮想通貨の利益は「雑所得」に分類

仮想通貨の取引によって得た利益は、所得税法上「雑所得」に分類されます。これは、給与所得や事業所得といった主たる所得ではなく、継続性や組織性がなく一時的に発生する利益と見なされるためです。

例えば、ビットコインを買って値上がり後に売却して得た利益はもちろん、仮想通貨を決済に使った場合やステーキング・マイニングによる報酬などもすべて雑所得に該当します。雑所得は総合課税の対象となるため、給与所得などと合算して課税され、所得額に応じて最大45%の累進課税が適用される可能性があります。

株やFXとは異なる税率・仕組みであることから、申告ミスを避けるためにも正確な分類の理解が欠かせません。

雑所得の特徴と注意点(特別控除・繰越控除の不可など)

雑所得には、ほかの所得区分にはない特有の制約がいくつか存在します。

まず、給与所得控除や事業所得の必要経費のような特別控除が設けられておらず、経費として認められる範囲が限定的です。さらに、仮想通貨取引で損失が発生しても、他の年に繰り越して控除する「繰越控除」が認められていないのも大きな特徴です。

例えば、2025年に100万円の損失を出した場合、それを2026年に繰り越して税金を減らすといったことはできません。これにより、タイミング次第では多額の税負担が発生する可能性もあります。

雑所得は一見シンプルなようでいて、他の所得区分と大きく異なるため、税務上のルールをしっかりと把握しておくことが重要です。

FX・株式との損益通算はできる?

仮想通貨で損失が出た場合、FXや株式の利益と相殺して税金を抑えたいと考える方も多いですが、原則としてそれはできません。

仮想通貨は「雑所得」、一方でFXは「先物取引に係る雑所得等」、株式は「譲渡所得」に分類され、それぞれ異なる税制が適用されています。損益通算は基本的に「同じ所得区分内」でのみ可能であり、雑所得と他の所得区分との間では相殺できません。そのため、仮想通貨の損失をFXや株式の利益と通算して節税することは制度上認められていないのです。

こうした制度の違いを知らずに申告してしまうと、税務署から修正申告を求められる可能性もあるため、各所得区分の扱いと通算のルールを正確に理解しておく必要があります。

仮想通貨における損益計算の方法

仮想通貨の確定申告では、正確な損益計算が必須です。しかし、取引頻度や銘柄が増えるほど、計算は煩雑になります。特に税務署で認められている「総平均法」と「移動平均法」の使い分けや、取引履歴の保存・管理はミスが許されない重要ポイントです。

ここでは、損益計算の基本となる手法と実務で押さえておくべき注意点、さらに便利な計算ソフトの活用方法について解説します。

総平均法と移動平均法の違い

仮想通貨の損益計算に使われる代表的な方法が「総平均法」と「移動平均法」です。

  • 総平均法:すべての取得価格を合計し、保有数量で割って平均取得単価を出すシンプルな計算方法
  • 移動平均法:取引のたびに取得単価を更新していくため、計算の手間はかかるものの、より実態に近い損益を反映できる

日本の税制では、どちらを採用するかは納税者が選択できますが、一度選んだ計算方法は原則として毎年継続して使う必要があります。税務上の整合性を保つためにも、初年度にどちらの方式を採用するかが極めて重要です。取引量や管理のしやすさを基準に、自身に合った計算方法を選びましょう。

取引履歴の保存と計算のポイント

仮想通貨の損益を正確に算出するには、すべての取引履歴を詳細に記録・保存しておくことが欠かせません。売買だけでなく、送金や交換、マイニング報酬の受取などもすべて課税対象となりうるため、それぞれの取得日・取得価格・数量・取引所名などを明確に残しておく必要があります。

また、複数の取引所を利用している場合は、それぞれの履歴を一元管理しないと計算ミスや二重計上が発生しやすくなります。エクセルでの手入力は限界があるため、自動で履歴を集約できるツールやソフトを活用するのが現実的です。

税務調査で根拠を求められることもあるため、取引履歴は最低でも7年間は保存しておきましょう。

損益計算ソフトの活用(Gtaxなど)

仮想通貨の取引が多い場合、手作業での損益計算は非常に手間がかかり、ミスも起こりやすくなります。そこで活用したいのが、仮想通貨専用の損益計算ソフトです。

中でも「Gtax」や「クリプタクト」等は、多くの国内外の取引所と連携しており、取引履歴の自動取り込みや損益の自動計算が可能です。総平均法・移動平均法の選択にも対応しており、税務申告用のレポートもワンクリックで出力できます。

また、DeFiやNFT取引にも対応しているため、近年の多様な取引形態にも柔軟に対応できます。年間数千円〜数万円のコストでミスのない確定申告が可能になるため、多くの投資家にとってはコスト以上の価値があります。

損益通算ができるパターン・できないパターン

仮想通貨取引において損失が発生した場合、「損益通算」を使って課税対象の所得を減らせるケースがありますが、その適用範囲には明確な制限があります。特に、同じ年内に複数の取引所を利用している場合や、株式や副業といった他の所得区分との関係、さらにはマイニング報酬やエアドロップといった特殊ケースにも注意が必要です。

ここでは、損益通算が可能な条件と、逆にできない代表的なパターンを具体的に整理します。

同じ年内に複数の仮想通貨取引所を利用している場合

1年のうちに複数の仮想通貨取引所を利用している場合でも、すべての取引が「雑所得」に該当していれば、損益通算は可能です。

例えば、

  • A取引所で50万円の利益が出て、B取引所で30万円の損失が出た場合、それらを合算して20万円の利益として申告することができる

ただし、取引所ごとにフォーマットが異なるため、履歴を正しく整理・統合しなければ正確な損益計算はできません。

また、DeFiやステーキングなど、取引所を介さない収益との通算を行う場合も、分類に注意が必要です。取引所が異なっても所得区分が同じであれば通算可能という原則を理解し、データの整合性を保つことが損益通算成功の鍵です。

異なる所得区分(例:株・不動産・副業収入)との関係

仮想通貨の利益や損失は「雑所得」に分類されるため、

例えば「譲渡所得」に分類される株式や、「事業所得」に該当する副業収入、不動産収入等とは損益通算ができません。

一例をあげると、仮想通貨で50万円の損失があっても、株式投資で得た100万円の利益とは相殺できず、それぞれ独立して課税される仕組みです。これにより、実質的に全体の収支がマイナスであっても、仮想通貨部分の損失が税負担を減らす要因にならないこともあります。

また、株やFXは分離課税対象であるため、税率や課税方法自体も異なります。確定申告時には所得区分ごとに明確に整理し、誤って通算処理しないよう注意が必要です。

マイニング・エアドロップなどのケース

マイニング報酬やエアドロップによって得た仮想通貨も「雑所得」として扱われるため、売買による損益と損益通算することは一見可能です。ただし、注意すべきはその取得時点の評価額が「収入」として認識される点です。

例えば、エアドロップで付与された仮想通貨が、受け取り時に1万円の価値があれば、それがそのまま課税対象となります。仮にその後すぐに価値が下がり、売却して損失が出ても、通算の仕方を間違えると損益が正確に反映されません。

また、マイニングについては、事業的規模で行っている場合は「事業所得」とされ、他の雑所得とは通算できないケースもあります。収益の発生源と規模に応じて、適切な所得区分と通算対象を見極めることが必要です。

仮想通貨で損益通算を活用した節税の実践方法

仮想通貨取引で利益が出た場合、そのままにしておくと高額な税金が発生する可能性があります。そこで注目したいのが、「損益通算」や「損益最適化」といった節税テクニックです。年内の取引タイミングを工夫することで、利益に対する課税額を抑えることが可能です。

ここでは、含み損の確定や買い戻しを活用した節税の実践例について、仮想通貨特有のポイントとあわせて詳しく解説します。

「損益最適化」による年内の節税対策とは

「損益最適化」とは、年内の利益と損失をうまく調整し、課税所得を圧縮することで節税を図る方法です。

仮想通貨取引では、値上がり益が出ている銘柄がある一方で、含み損を抱えている通貨も存在することが少なくありません。そこで、損失が出ている仮想通貨を年内に売却して損益を確定させ、利益と相殺することで、課税対象額を下げることができます。これは税務上も認められた合法的な節税手段で、特に年末が近づくタイミングで活用する人が増えます。

損益最適化は、仮想通貨の年間収支をコントロールしやすくするため、確定申告前に取引の見直しを行うことが重要です。

含み損を確定させて利益を圧縮する方法

仮想通貨の含み損は、保有しているだけでは損益通算の対象にはなりません。節税のためには、その含み損を「実現損」として確定させる必要があります。

具体的には、損失が出ている仮想通貨を年内に一度売却し、損益として計上することで、他の利益と相殺可能になります。この手法を使えば、利益が出ている銘柄の税金を圧縮でき、結果的に納税額を抑えることができます。

注意点としては、単に売却するだけでなく、同じ年内に再度購入する場合は「買い直し」による平均取得単価の変動なども考慮する必要があります。適切なタイミングで売却と再取得を行い、損益計算をしっかり把握することが成功のカギです。

損失確定後に買い戻す「タックスロス・ハーベスティング」

「タックスロス・ハーベスティング(Tax Loss Harvesting)」とは、含み損が出ている仮想通貨を年内に一度売却して損失を確定させた後、同じ銘柄を再度買い戻すことでポジションを維持しつつ節税効果を得るテクニックです。

これにより、損益通算によって課税対象の利益を減らしつつ、将来の値上がりに備えて保有を続けることができます。

株式投資では「同一銘柄の30日ルール(Wash Sale Rule)」により制限がありますが、日本の仮想通貨取引には現時点で同様の規制はなく、買い戻しも合法的に可能です。ただし、頻繁な売買は手数料や価格変動リスクもあるため、計画的に実行する必要があります。節税だけでなく資産運用戦略としても有効な手法です。

確定申告における損益通算の手続き方法

仮想通貨取引で損益通算を行うためには、確定申告での正確な記録と申告が欠かせません。取引履歴の集計ミスや所得区分の誤りがあると、過少申告や追徴課税のリスクもあります。

ここでは、損益を正しく計算・申告するための実務的なポイントと、e-Taxや確定申告ソフトを活用した効率的な方法、さらに申告ミスによるペナルティを防ぐ注意点まで、申告手続きの流れに沿って詳しく解説します。

損益を正確に記録・申告するためのポイント

損益通算を正しく行うには、仮想通貨のすべての取引履歴を詳細に把握し、正確に記録・分類することが大前提です。売却・交換・送金・ステーキング報酬など、すべてが課税対象になる可能性があるため、取引所ごとの履歴は欠かさず保存しておきましょう。

また、取得価格や売却価格、日付、通貨の種類、数量などを明確にしておくことが重要です。取引所が複数ある場合は、一元的に集計しないと二重計上や漏れのリスクが高まります。

申告書には所得区分として「雑所得(その他)」を選び、総平均法または移動平均法で算出した損益を正確に記載します。計算の信頼性を確保するためにも、損益計算ツールの併用がおすすめです。

e-Taxや確定申告ソフトの活用方法

仮想通貨取引の申告には、e-Taxや市販の確定申告ソフトを活用することで作業を大幅に効率化できます。

例えば、Gtaxやクリプタクトなどの損益計算ソフトを使えば、各取引所のデータを自動で取り込み、総合課税用の雑所得計算結果をCSV形式で出力できます。これをfreee、弥生、マネーフォワードなどの確定申告ソフトに取り込むことで、入力の手間を大幅に削減できます。

e-Taxを利用すれば自宅からオンライン申告が可能で、青色申告の65万円控除や還付申告もスムーズに行えます。マイナンバーカードとICカードリーダー、もしくはスマホ連携があれば、個人でも簡単に申告が完了します。ペーパーレスで控除メリットも得られるため、活用しない手はありません。

損益通算の誤りに注意!ペナルティを防ぐために

仮想通貨取引における損益通算は、計算や申告方法を誤ると重大なペナルティを受ける可能性があります。

例えば、所得区分を「譲渡所得」や「事業所得」と誤って申告したり、雑所得内で損益通算ができない収益(マイニングの事業所得扱いなど)を相殺してしまうと、税務署から修正申告や追徴課税を求められることがあります。

また、取引履歴の一部が漏れていた場合、過少申告加算税や延滞税の対象にもなります。これらを防ぐには、事前に所得区分と損益通算のルールを理解し、計算根拠となるデータやツールの整合性を確認することが不可欠です。

初めて確定申告を行う人や不安がある場合は、税理士への相談も有効な選択肢となります。

損益通算に関するよくある質問

仮想通貨取引の確定申告や損益通算を進めるなかで、「NFTやDeFiは対象になるのか?」「海外取引所の扱いは?」など、実務上の疑問は多くの投資家が直面します。

ここでは、実際によくある質問とその答えを3つ厳選して解説します。誤った理解で申告ミスを避けるためにも、基礎知識をしっかり確認しておきましょう。

Q. NFTやDeFiの損益も通算対象になりますか?

原則として、NFTやDeFiの取引によって発生した損益も「雑所得」に該当するため、仮想通貨取引と同様に雑所得内であれば損益通算が可能です。

例えば、NFTの売却による利益と、仮想通貨の損失を同じ年内で相殺することは認められます。ただし、取引の性質や規模によっては「事業所得」や「譲渡所得」と見なされる場合もあり、その場合は雑所得との通算が認められない可能性があります。

さらに、DeFiでの報酬(利息やファーミング報酬など)は取得タイミングの評価額をベースに雑所得として計上する必要があり、通算するためには正確な記録と計算が求められます。税務判断に迷う場合は、税理士への相談が安心です。

Q. 海外取引所の取引は対象になりますか?

海外の仮想通貨取引所で行った売買も、日本国内に居住している限り、課税対象となり、損益通算の対象にもなります。

BinanceやBybit、MEXCなどの海外取引所で発生した利益や損失も、他の取引所での雑所得と合算して申告する必要があります。ただし、海外取引所では日本円での取引履歴が取得できない場合も多く、損益計算には注意が必要です。レート換算は取得時点・売却時点での為替相場に基づき、円建てで計算する必要があります。

また、海外取引所に一定金額以上の資産を保有している場合、「国外財産調書」の提出義務が発生することもあるため、資産規模に応じた税務対応も欠かせません。

まとめ

仮想通貨の損益通算は、正しく理解すれば大きな節税効果を得られる一方、雑所得特有の制限や計算ルールを誤ると余計な税負担やペナルティの原因になります。

損益の記録、計算方法、通算可能な範囲を明確に把握し、年内に戦略的な取引を行うことが重要です。NFT・DeFi・海外取引所を含めた多様な取引に対応するには、損益計算ツールの活用や専門家への相談も効果的です。本記事を参考にして、確定申告の前にしっかり情報収集をして準備し、賢く納税しましょう。

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