仮想通貨といえば「投資」や「トレード」としてのイメージが最も強いかもしれませんが、近年は新しい資金調達の手段としても注目されつつあります。その中でも特に話題を集めているのが、保有している仮想通貨を担保にお金を借りる「暗号資産担保ローン」です。
本記事では、「仮想通貨で資金調達をするとはどういうことか?」という基本から、暗号資産担保ローンの仕組み、メリット・デメリット、そして国内の主要サービスの特徴までを初心者向けに分かりやすく解説します。
仮想通貨を「担保」にして資金調達できるって本当?
暗号資産担保ローンとは、**保有している仮想通貨を売却することなく、その価値を担保として設定することで、日本円やドルなどの法定通貨を借り入れることができる仕組み**です。
従来の融資では「不動産」や「有価証券」を担保として設定することが基本ですが、暗号資産担保ローンでは、ビットコインやイーサリアムなどのデジタル資産を担保にします。担保に預けた仮想通貨は、契約期間中は運営会社に安全に保管され、ローンの返済が完了すると元のウォレットへそのまま返還されます。
つまり、**「将来の値上がりを期待してガチホ(長期保有)している資産」を手放さずに、今すぐ必要な現金を調達できる**点が、暗号資産担保ローンの最大の強みといえます。
通常の融資(ローン)と何が違う?
仮想通貨を担保とするローンと、カードローンや住宅ローンなど、私たちが日常生活で耳にする通常のローンとでは、どのような違いがあるのでしょうか。大きく2つのポイントを解説します。
1. 担保の種類と審査のハードル
通常のローンでは、不動産などを担保にする「物的担保」や、保証人を立てる「人的担保」、あるいは個人の信用情報が重視されます。一方、暗号資産担保ローンは仮想通貨そのものを担保とするため、不動産などの他の資産を保有していない方や、過去の信用情報に不安がある方でも比較的利用しやすいという特徴があります。
2. 返済方法の違い(月々の負担)
通常のローンでは、毎月決まった額の「元利返済(元金+利息)」が求められます。しかし、暗号資産担保ローンの多くは**「元利一括返済」**の方式を採用しています。これは契約期間の満了時にまとめて返済する仕組みのため、期日までの毎月の支払い負担がなく、キャッシュフローに余裕を持たせることができます。
担保にできる主な仮想通貨(対象銘柄)
担保として設定できる仮想通貨は、原則として「時価総額が高く、取引量も多い主要通貨」に限られています。国内のサービスで多く採用されているのは以下の銘柄です。
- ビットコイン(BTC)
- イーサリアム(ETH)
- ライトコイン(LTC) ※一部サービスのみ
- ビットコインキャッシュ(BCH) ※一部サービスのみ
金融サービス会社によっては独自のポリシーがあり、価格変動が激しすぎる草コイン(マイナーな通貨)は担保として認められません。利用するプラットフォームによって対応通貨が異なるため、事前に公式サイト等でしっかりと確認することが重要です。
【5ステップ】暗号資産担保ローンの申し込み〜返済の流れ
「仮想通貨を担保にする」と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、実際の流れは意外にもシンプルです。一般的な国内サービス(Fintertech等)を例に、申し込みから返済までの5つのステップを解説します。
- ステップ①:利用申し込み・審査
専用の申込フォームへ必要な情報を入力し、本人確認書類を提出します。金融庁に登録された業者が中心となるため、一定の本人確認と資産確認が行われます。 - ステップ②:基本契約の締結
審査通過後、ローンを利用するための基本契約を結びます。(※この段階ではまだ資金の借り入れは行われません) - ステップ③:借入契約の締結と仮想通貨の預け入れ
借入金額と返済期日を指定し、保有している仮想通貨を担保としてプラットフォームに預け入れます。担保の評価額に応じて借入可能な金額が決まります。 - ステップ④:資金の振込(資金調達)
借入契約が完了すると、数営業日以内(最短で即日〜3営業日程度)に指定の銀行口座へ日本円が振り込まれます。 - ステップ⑤:返済・担保の返却
返済期限に達した時点で、借入金と利息をまとめて返済します。返済が完了すると、預け入れていた仮想通貨が手元に戻ってきます。
返済方法の選択肢(現金返済と代物弁済)
返済方法には、主に以下の2つの選択肢が用意されています。
① 現金返済(法定通貨での一括返済)
借入金と利息を日本円などで指定口座へ返金する方法です。最大のメリットは**「税務上の課税対象になりにくい」**ことです。仮想通貨を売却していないため利益が確定せず、将来の値上がり益をそのまま享受できます。
② 代物弁済(だいぶつべんさい)
借り入れた現金の代わりに、担保として預けていた仮想通貨をそのまま返済に充てる(プラットフォームに渡す)方法です。どうしても現金が用意できない場合に便利ですが、この時の仮想通貨の評価額は、取引所のリアルタイム価格ではなく、運営会社が提示する仮想通貨の相対取引(OTC)レートが適用されることが一般的です。
また、税務上は「仮想通貨の売却(譲渡)」とみなされるため、含み益がある場合は所得税・住民税の課税対象となる可能性があるので注意が必要です。
暗号資産担保ローンのメリットとデメリット
資産を手放さずに資金調達ができる便利な仕組みですが、利用前には双方の側面を正しく理解しておく必要があります。
利用するメリット
- 利益を確定(課税)させずに現金を調達できる
仮想通貨を売却して現金化すると、購入時より値上がりしていた場合は利益に対して税金がかかります。しかしローンであれば「借りているだけ」なので課税リスクを回避できます。 - 月々の返済負担が軽い
元利一括返済を採用しているサービスが多いため、毎月のキャッシュフローを圧迫せず、まとまった収入が入るタイミングでの柔軟な返済計画が立てられます。
利用するデメリットと注意点
- 相場の暴落による「強制返済(ロスカット)」のリスク
担保にしている仮想通貨の価格が暴落し、借入額が担保評価額の上限を超えてしまうと、自動的に担保が売却されて返済に充てられる場合があります。意図しないタイミングで資産を失う最大のリスクです。 - 追加担保(追証)を求められる可能性
相場が下落傾向にあると、強制返済を避けるために「追加の仮想通貨(担保)」を預け入れるよう求められることがあります。資金に余裕を持った担保設定が不可欠です。
主要サービスの特徴を徹底比較!
現在、国内でも複数の暗号資産担保ローンサービスが展開されています。代表的な3つのプラットフォームの特徴をご紹介します。
1. Fintertech「デジタルアセット担保ローン」
大和証券グループの子会社が提供する、国内初の個人向け暗号資産担保ローンです。ビットコインやイーサリアムを担保に、最大1億円までの融資が可能です。大手金融グループならではの信頼性の高さと、最短3営業日での振込というスピード感が評価されています。
個人はもちろん、法人の大規模な資金需要にも対応しており、あらかじめ開設した仮想通貨の法人口座と連携させることで、企業の保有資産を眠らせることなく有効活用できる点が多くの経営者に選ばれている理由です。
2. BTCBOXの仮想通貨融資
仮想通貨取引所「BTCBOX」が運営する融資サービスです。取引所の口座を持っているユーザーなら手軽に利用でき、取引・融資・返済までをワンストップで完結できる利便性が特徴です。担保対象はビットコインのみとなっています。
3. freee資金調達(融資マッチング)
クラウド会計ソフトで有名なfreeeが展開するマッチングプラットフォームです。直接ローンを提供しているわけではありませんが、提携先の金融機関による暗号資産担保ローンを案内してくれるケースがあります。一度のオンライン診断で複数の金融商品を比較できるのが強みです。
まとめ|暗号資産担保ローンは”新たな資金調達の選択肢”
仮想通貨を担保とする暗号資産担保ローンは、保有している暗号資産を売却せずに、必要な法定通貨(現金)を調達できる新しい融資手段です。
将来的な値上がりを期待して長期保有(ガチホ)している方にとっては、税務面でも有利に働きやすいという大きなメリットがあります。一方で、仮想通貨特有の激しい価格変動による「強制返済」や「追加担保」のリスクも存在するため、通常のローン以上に相場の動向とリスク管理が求められます。
目的や返済計画をしっかりと立てた上で、ご自身に合ったプラットフォームを選び、新たな資金調達の選択肢として上手に活用していきましょう。
